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サル(猿/申/猴/猨/猱/狙)はサル目(霊長目)のうちヒトを除いたものの総称。ただし、生物学的観点から見れば、正確にはヒトもサルである。 英語のmonkey(モンキー)や、いくつかの言語での相当する語は、正確にはオナガザル科(旧世界猿、old world monkey)と広鼻猿(新世界猿、new world monkey)の総称である。つまり、サルのうち原猿(曲鼻猿とメガネザル)と類人猿を含まない(メガネザルは分類学上の地位が不安定だが、それとは関係なくmonkeyには含めない)。そのため日本語でも、特に翻訳文献で、サルにこれらを含めないことがある。 日本では本来は、日本に住む唯一のサルであり、また固有種である、ニホンザルを指す。
系統冒頭でサルやモンキーの定義を述べるのに使った系統を以下に示す。太字がサル。 ( ) 内は英語での総称的な呼び名で、monkeyのみ太字で表した。絶滅系統は省略している。 サル目の系統は広く合意が得られているが、分類については諸説ある。そのためここでは系統を反映させた分類名を示したが、万人に認められているわけではない。
日本語でいうサルには、英語ではmonkeyのほか、ape、lemur、loris、galago、tarsierが含まれる。英語でこれらを総称するには、「ヒト以外の霊長類」と言う以外に簡潔な表現はない。 上の表に出てこないサルの分類上の名称には、以下のようなものがある。
字義字義としては、「猿」は尾の長いサル、つまりモンキー(ニホンザルのような尾の短いモンキーは極めて例外的であり古代中国では知られていない)を、「猴」は尾の短い(しかし腕の長くない)サル、つまり大型類人猿を、「猨」は腕の長いサル、つまりテナガザルを指す。。 現代中国語ではテナガザルを「长臂猿」(手足の長い猿)と呼ぶ以外、全て「猴」と呼んでいる。日本語では動物としてのサルを指す際の漢字は専ら「猿」である。 また「申」という字には元々サルの意味はなかったが十二支が動物と結びつけて考えられるようになり、申年はサルの年とされるようになった。子(ね)から数えて申は干支の9番目に数えられる。 日本語ではサルを「えて(得手)」「えて公」「えて吉」と呼ぶことがあるが、「さる」が「去る」に通じるためである。 サルのイメージ外見上はヒトに似ているが知能の面では及ばないことから、一方では賢い動物として扱われ、他方では「理解力が低い」「思考パターンが単純である」など「頭が悪い奴」という意味の蔑称として用いることがある。悪口として使用する場合、「サル」とカタカナで表記されることが多い。「山猿」など身が軽く敏捷な若者、特に男子を猿に例えた例もあるが、この場合も「垢抜けない」「野暮である」などの悪い意味を含む場合がある。 欧米では、サルは黒人をイメージさせ、差別するものとして取り扱われた[1]。第二次世界大戦中の米軍の戦意高揚ポスターには、日本兵を猿人の姿に描いたものも存在し、東洋人特に日本人に対する蔑称としても用いられた。 日本では、考えが足りないことをさす「毛が三本足りない」や「猿知恵」などの慣用句がある。 中国では、荘子斉物論には朝三暮四という寓話にサルが登場する。 ボーイスカウトは、班編制で行動し各班に動物の名前などを付けることで知られているが,世界的に「サル班」という班名は敬遠される。 サルと人物サルの顔つきは、ヒトに比べると額が狭く、顎が前に突き出る。そのような顔つきの人間は、時にサル面といわれる。日本では豊臣秀吉のあだ名がサルであったことが有名である。 チャールズ・ダーウィンの進化論は、これを人間に当てはめると先祖がサルであったことになり、大変反感を持って迎えられた。そのため、ダーウィンの顔にサルの胴体をつなげた似顔絵が描かれたこともある。これは、他方で彼がサル面であったことにもよる。 伝承におけるサル
森狙仙筆(18世紀)
ヨーロッパ近辺にはほとんどサルはいないので、伝承等に姿を見せることは少ないが、それ以外の世界では、さまざまな関わりを持つ。 知能が高いことから利口で勇敢な、あるいは狡猾なイメージが付随する。前者の例は孫悟空やハヌマーンが有名である。後者の例としては、さるかに合戦のサルが挙げられる。 また、伝承ではサルはヒトのまねをするものとされている。日本語では無闇に他人の真似をすることを「猿真似」と言い、英語でも不恰好な模倣を"ape"と表現する。 日本の狂言にはサルの登場する作品がいくつかあり(靫猿など)、狂言師は子供のころにサル役でデビューする。 サルはまた、酔拳や蛇拳などの象形拳や、形意拳の十二形拳にある、「猴拳(さるけん)」「猴形拳(こうけいけん)」のモデルにもなっている。なお、通臂というのもサルの妖怪で、両手が肩の中で繋がっており、片方を縮めるともう一方がその分だけ伸ばせる。これを形に取ったのが通臂拳であるとも言われる。 猿と馬サルはウマを守ると言われ厩の守護とすること自体は、伝承としては古くて広範囲に見られ、例えば孫悟空が天界に召されたとき、最初任ぜられた天馬の厩の担当官弼馬温(ピーマーウェン 日本語音ひつぱおん)は同音中国語の避馬瘟というサルはウマを守るものとの伝承がインド(北インド地方の古いことわざにも「ウマの病気がサルの頭上に集まる」というものがあるという。)から中国に伝来したことによる。[2]同様の伝承は日本に伝わり、中世の武家屋敷の厩でサルが飼育されていた様子は、男衾三郎絵詞の図像など馬小屋に猿を飼う事例があった。馬小屋についても、本物のサルではなく、サルの頭蓋骨や木造をお守りに飾る例も知られる。これは動物学的には、ウマのような社会性の高い動物の場合、にぎやかしに社会性の高い動物を一緒にすることが有効とのことで、イヌもそれに用いられる例がある。 利用野生動物の中ではあまりにも人間に似ていることから、これを狩ったり喰ったりすることを食のタブーとする地域もある。しかし、食用になっている例もある。日本でも、第二次大戦後、サルの数が急に減少したのは、戦後の食糧難の時期に食用になったためと言われている。また、熊の胆嚢を「熊の胆」というように、サルの胆も薬用とされた。他に、毛皮としての利用もある。狂言の『靫猿』では猿回しの猿を武士が靫を飾る毛皮にと言って要求する。 ペットとして飼育されることもあるが、たいていの場合、大人になると気が荒くなり、一般的には飼育が困難である。しかも、知能が高いため、いたずらが巧妙を極め、逃げ出すこと、室内を破壊することが多いという。しかし、サルをペットとする歴史その物は古く、古代中国ではテナガザルを飼うのは王侯の楽しみであったと言う。史上最初の推理小説ともいわれる「モルグ街の殺人事件」の犯人はペットのオランウータンだった。なお、現在でも、オランウータンやゴールデンライオンタマリンなどが絶滅危惧に追いやられている主な原因がペット目的の捕獲である。 目的を持って飼育する例は多く、東南アジアではココヤシの実を取ってこさせるためにブタオザルが飼育されるなどの例もある。日本ではニホンザルによる猿回しは伝統芸能である。チンパンジーの芸はサーカスなどで見られる。アメリカ合衆国では身体障害者の介護にフサオマキザルを訓練して利用する試みもある。特殊な例では、前記のようにサルには馬を守る性質があると言われたことから、かつての猿回し師は馬医者をも兼ねていたという。 動物実験では人間に最も近い動物として古くから多用されてきた。 主にマカク猿を用いることが多い。しかし、近年では動物実験への使用への反対意見も多くなっている。 サルを主人公とした作品モンキーの項も参照のこと。 古典作品民話映画文学作品漫画他に西遊記をテーマとした作品多数。 歌
参考文献
脚注
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