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バナナ(甘蕉、芭蕉実、学名 Musa spp. )はバショウ科バショウ属のうち、果実を食用とする品種群の総称。幾つかの原種から育種された多年草である。 2001年の全世界での年間生産量は約1億トン。アジアや中米の熱帯域で大規模に栽培されているほか、東アフリカや中央アフリカでは主食として小規模ながら広く栽培が行われている。
植物学上の特徴と分布原産地は原産は熱帯アジア、マレーシアなど。バナナの栽培の歴史はパプアニューギニアから始まったと考えられている[1]。 「バナナの木」と言われるように、高さ数mになるが、竹類などと同様に草本であり、正確には果物ではなく野菜(果菜)に分類される。その高く伸びた茎のような部分は偽茎(仮茎)と呼ばれ、実際には、葉鞘が幾重にも重なりあっているものであり、いわばタマネギの球根を引き延ばしたようなものである。茎は地下にあって短く横に這う。茎のような先端からは、長楕円形の葉(葉身)が大きく伸びる。 花花(花序)は偽茎の先端から出て、下に向かってぶら下がる。花序は1本の果軸に複数の果房(果段)がつき、各果房には10本から20本程度の果指から成っている。大きな花弁に見えるのは苞葉で、果指の部分が本当のバナナの花である。果指一つ一つが一本のバナナに成長し果房がバナナの房となる。なお、開花は一本の偽茎につき一回のみで開花後は株元から吸芽を出して枯れてしまう。 果実果皮の色は品種によって異なり、一般的に知られるものは緑色から黄色であるが、桃色から紫まで多様である。収穫後時間が経過するにつれて皮の表面に浮かぶ黒い斑点状のものをシュガースポット (Sugar spot) と呼び、簡単な熟成のバロメータとなる。また成熟したバナナの皮はクロロフィルの分解物が含まれ、紫外線を照射すると青色の蛍光を発する[1]。 キャベンディッシュ種などの食用バナナは三倍体であるため種子を作らない。吸芽の株分けなどで繁殖する。 品種バナナの原種は M. acuminata と M. balbisiana である。今日ではこの2種は食用とはされないが、栽培種のバナナは M. acuminata (A) および M. balbisiana (B) どちらかの遺伝子型を保有する倍数体であり、これによって分類される[2]。 遺伝子型 AAA を持ち、広く栽培されている品種には、キャベンディッシュ (Canvendish) 種とグロスミッチェル(Gros Michel, 愛称 big Mike)種がある。どちらもデザート用に栽培されており、キャベンディッシュ種は世界で生産されるバナナのほぼ半数を占める。かつてはグロスミッチェル種もさかんに栽培されていたが、20世紀中頃に世界的に蔓延したパナマ病によって大打撃を受け、現在では全生産量の1割ほどに留まっている。ウガンダやタンザニアでは、ハイランド (highland) と呼ばれる料理用の品種が栽培されている。 遺伝子型 AAB をもつ品種はプランテーン (plantain) と呼ばれ、バナナとは異なる果物に分類される場合もある。主に料理用とされる。世界生産量の2割弱を占める。 日本国内でも南九州・沖縄県を中心にバナナが栽培されている。沖縄県や鹿児島県奄美諸島では、普通のものよりはるかに短くて小さいシマバナナという品種もよく見かける。味は酸味がやや強くてうまいが、皮が薄くて傷みやすい。 遺伝子組み換えによってバナナの新しい品種を作成する試みも行われている。バナナは不妊性であるため、改変した遺伝子が外界に広がって遺伝子汚染をひき起こす可能性は低く、遺伝子組み換え作物に適していると言われる[3]。 生産
サンティアゴ島のバナナ・プランテーション
バナナは熱帯域を中心に世界の広い範囲で栽培されている。FAOの統計[4]によると、20世紀末の時点で全世界での年間生産量は約 1 億トン、栽培面積は900万ヘクタールに達する。主な生産国はインド・ブラジル・中国・エクアドル・フィリピン・インドネシア・コスタリカ・メキシコなど[5]で、多くが大規模なプランテーションで栽培されている。輸出量はラテンアメリカ諸国が8割を占める。主な輸入国はアメリカ合衆国で、世界の全輸入量の3分の1を占める。 東アフリカや中央アフリカでは主食とされる重要な作物であるが、小規模農家が多く、正確な生産量はわかっていない。 流通と保存日本では、チチュウカイミバエなどの害虫の侵入を防ぐため、植物防疫法の定めにより熟した状態では輸入できない。このため、輸入するバナナはまだ青い緑熟のうちに収穫して、定温輸送船などで日本に運ばれる。植物防疫法、食品衛生法等の諸手続きを経て輸入通関後、バナナ加工業者の所有する加工室内でエチレンガスと温度、湿度調整によりバナナの熟成を促す。 保存の最適温度は15度前後であり、一時的にでも13度以下に置いてしまうと熟成がうまく進まなくなるほか、低温障害をおこし皮が変色する。常にエチレンガスを放出しているため、皮が物に接していてもすぐに傷む。1本ずつ切り離してビニール袋に入れたり、成っている時のように吊るすようにした方がよい。長期間保存する場合には冷蔵庫で保存するのがよい。皮は変色が早まるが、中身は常温で保存するよりも熟成が遅れ長持ちする[6]。 国内における販売価格は、輸送手段の発達もあり、数十年間ほとんどめぼしい上昇をしていない。一方で、近年は味の濃い高級バナナが店頭に並ぶことも増えている。 病害バナナは不妊性であるため遺伝的多様性に乏しく、病気が発生すると致命的な打撃を受ける。 フザリウムが引き起こすパナマ病 Race 1 は、20世紀中期まで広く栽培されていたグロスミッチェル種を壊滅させた[7]。こののち、Race 1 に耐性があるキャベンディッシュ種が世界的に広く栽培されるようになったが、2001年頃に発見された Race 4 と呼ばれる変異体はキャベンディッシュ種にも感染し、マレーシア・フィリピン・中国およびアフリカ諸国のバナナ栽培に損害を与えている。2008年時点では対処法は見つかっておらず、このまま世界的に感染が拡大した場合 10 年以内にキャベンディッシュ種は全滅するとも言われ、品種改良や遺伝子操作、ゲノム解読による対策が急がれている[8]。 子嚢菌 Mycosphaerella fijiensis によって引き起こされるシガトカ病 (Black sigatoka) は、バナナの葉を黒く変色させ、光合成を阻害して収穫量を半減させる病害である。殺菌剤の噴霧で対処できるが、徐々に薬剤耐性を獲得しており、有効性が低下している。 利用果実世界で生産されるバナナの約3分の2はデザート用、約3分の1が調理用である。アフリカ諸国には、個人の摂取カロリーのうち半分をバナナに依存する地域も存在する。 キャベンディッシュ種などのデザート用バナナは、皮を剥いてそのまま、あるいはケーキやヨーグルトに入れるなどして生食される。牛乳や氷などとともにミキサーにかけてジュースとすることもある。縁日などでは、バナナにチョコレートを掛けたチョコバナナなどが屋台の定番の一品となっている。 料理用バナナは生食用バナナよりデンプン、繊維質、ビタミンA等が豊富で、イモに近い感覚で加熱してから食べる。バナナの揚げ物としては、バナナチップスのように薄く切って素揚げにしたもの、ベトナム料理の揚げバナナのように衣をつけて揚げるもの、キューバ料理のトストーネスのように潰してから揚げるもの、などがある。蒸したバナナは東アフリカで主食とされ、マトケと呼ばれている。 バナナを穀物粉と共に発酵させたアルコール飲料であるバナナビールはアフリカで広く飲まれている[9]。 花フィリピン、インドネシア、タイ、南インドなどバナナの生産地ではバナナの花(蕾)を食用とする地域が珍しくない。それらの地域では食用のバナナの花が市場で普通に売られている。食べ方は、外側のバナナに育つ花弁を排除して、蕾の皮を剥くと、可食部である芯が現れる。そのままではアクがあり食べられないため、水にさらしアクを抜く。炒めて調理する。味は苦味がある。 葉
バナナの葉に盛り付けた南インド料理
バナナの葉は調理器具や食器として用いられる。東アフリカでは調理用バナナをバナナの葉に包んで蒸したマトケが主食である。南インドの正餐では、料理をバナナの葉の上に盛り付けて食べる。 皮バナナの皮を踏んだ人が滑って転ぶ古典的なギャグが世界的に知られている。バナナの可食部に面する果皮の内側は多量の植物油を含んでいるため、「潤滑効果」と呼ばれる現象が発現し、摩擦係数が低減するため滑りやすくなる[10]。この現象はワックスを塗った床が滑りやすくなるのと同じ原理である。 バナナの皮には幻覚作用を持つアルカロイド、ブフォテニンが微量ながら含まれている。この成分は喫煙者にはやや効き辛いが、微量とはいえ毒性なので皮を食べるのはあまり良くない。 文化タイでは、「簡単なこと」や「ありふれたこと」を意味する言葉として「クルアイ・クルアイ」(『กล้วยฯ』。『バナナ・バナナ』の意)という言い回しがあり、バナナが日常に根ざしていることが伺える。ウガンダでは「食べ物」と「バナナ」を示す言葉が同じ[8]であり、日本語の「ごはん」と「米飯」が同じであることと似ている。 “フルーツダイエット”ブーム2006年頃から日本では「朝食にバナナを食べる」という「朝バナナダイエット」なる肥満解消法[12]がインターネット上やテレビで取り上げられた[13]。2008年3月には同法の提案者とされる「はまち。」が書籍『朝バナナダイエット』を出版。続編も含めた累計売上は同年10月時点で70万部を超えた[14][15][13][16]。 肥満を解消出来ると考えた人々が「バナナをダンボール箱ごと買う」などの過熱ぶりで、日本各地の売り場ではバナナが品薄状態になり、ブーム以前に普段バナナを常食していた人がバナナが買えない程になった。 フルーツダイエットのブームとしては、1992年ごろ日本でリンゴを用いたダイエットが大ブームとなった前例がある。 ギャラリー脚注
関連項目
外部リンク
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