封神演義

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封神演義』(ほうしんえんぎ)とは、中国代に成立した神怪小説。『封神伝』『封神榜』『封神榜演義』ともいう。ちなみに榜とは立て札のことである。

目次

封神演義とは

元は紀元前の商周革命に神怪的な要素を加味して作られた文学作品であり、古くから芝居や講談の題材として扱われ、中国民衆の間で広まった。 なお、中国の一般の人々の道教の神々に関する知識は、この書を元にしていることが多い。

作者について

『封神演義』の作者には諸説あり、明確に定まった説は未だにない。最古の版本である『鐘伯敬先生批評封神演義第二十巻』には、許仲琳編と記されている。また、冒頭部分を許仲琳が書き、その後、序文を記している李雲翔が手を加えたという「許仲琳・李雲翔合作説」もある。その他、道教方面において著作の多い陸西星の作とする説もあるが、成立年代の問題などから疑問視する声もある。

また俗伝承として、『金瓶梅』の作者である王世貞が朝廷より『金瓶梅』の中身を見せるよう命じられたため、慌てて一夜で『封神演義』を書き上げて差し替えた……というものもある。

版本について

現存最古の版本は明代の『鐘伯敬先生批評封神演義第二十巻』で、日本の内閣文庫に所蔵されている。清代には褚人獲によって「四雪草堂本」と呼ばれるテキストが出された。中国や台湾で一般的に流布している活字本の内容は、これに基づくことが多い。四雪草堂本と『鐘伯敬先生批評封神演義第二十巻』のストーリーはほぼ同じだが、第九十九回の封神榜に名を連ねたメンバーが大幅に異なる(特に群星正神がかなり異なり、『鐘伯敬先生批評封神演義第二十巻』では戦死したにも関わらず名が載っていない人物が数多くいる)。

また清代には「蒙古車王府曲本」と呼ばれる口語体の二百二十回本も書かれたが、これは『鐘伯敬先生批評封神演義第二十巻』とは大幅に内容が違っている。

作品の評価

日本語版訳者の安能務は中国の三大怪奇小説として『西遊記』、『三国志演義』、『水滸伝』を挙げ、『水滸伝』よりも相応しいと解説しているが、魯迅は『中国小説史略』で「『水滸伝』に比べたら幻想的に過ぎ、『西遊記』に比べたら雄偉さに欠け、今に至るまでこの二作品と同列であると見なした者はいない」と酷評している。また、斉祐焜は『明代小説史』(中文・浙江古籍出版社)で「『封神演義』は思想面でも芸術面でも、作者が意図した『小説界に於いて水滸伝と西遊記と共に鼎立する』という抱負を果たすことは到底できなかった」と評している。一方で「だがそれでも『封神演義』は中国小説史で一定の重要な地位を占める」とも記している。

このように文学的面での評価は芳しくないが、古くから伝えられていた説話に変わって『封神演義』のエピソードが広まったり、架空の神格であるはずの通天教主や申公豹の廟が立って実際に信仰されたりと、中国の民間信仰に与えた影響は大きく、文化的には重要な作品であると言える。

前史

「太公望(姜子牙)が封神を行った」という故事自体は、古くは『史記』封禅書の記述の中に見られる。直接の前身となった作品は、の至治年間(1321-1323)以前に成立したとされる歴史小説『武王伐紂平話』である。また『封神演義』の作者は明代の余邵魚の小説『春秋列国志伝』も同時に参照していたと言われている。『封神演義』の骨組みはこの二作品のストーリーとほとんど同じだが、『武王伐紂平話』と『春秋列国志伝』があくまで歴史小説であるのに対し、『封神演義』は神怪的要素が加味された神怪小説である点で、前者二作品とは大きな違いがある。

その他『西遊記』『八仙東遊記』といった作品や、『三教源流捜神大全』などに収められた各地の民話伝承なども元になっているとされ、複数に渡る関越えの戦闘描写などは『三国志演義』の影響も受けているとされる。

日本での普及

日本でも古くから読まれ、江戸時代に好事家が既に読んでいた記録があり、大正時代にはこれを論じた論文も発表され、中国文学の専門の辞書にも掲載されており、魯迅も「中国小説史略」(平凡社東洋文庫1.2)において取り上げていた。ただし、一般への普及は極めて遅く、1989年に安能が講談社文庫『封神演義』(上・中・下)を通して紹介してからである。実際には、1977年木嶋清道が既に翻訳を行い出版していたが、ほとんど普及していなかったために、安能はそれ以前の封神演義に関する日本語文献を発見できず、儒家がこの小説を異端視して普及させなかったと、誤解に基づく主張を行い、孔子を罵ってしまったほどであった(なお安能版の前書きには、儒家は太公望(姜子牙)の名をあらゆる書物から隠した、ただし既に成立していた『史記』を除く、という旨が記されている。だが『史記』の成立は孔子誕生より後であるため、非常におかしな主張になってしまっている)。また、この際の内容は、原典を元にしつつも、殺戒を『殺人欲求』と解釈したり、天数や封神事業を理不尽な天界の陰謀として扱ったりするなど、作品の根幹部分から細部に渡るまで安能による改編がかなり加えられた、いうなれば「超訳」であった。

知名度が上がり広く流布したのは、藤崎竜(集英社)の漫画など、若年層向けメディアに取り上げられてからのことである。本ページの後の項も参照。

原型に一番近い形で読める日本語版は、光栄(現・コーエー)の『完訳 封神演義』(上・中・下)と言われている。ただ一部訳されていない詩があったり、底本が『鐘伯敬先生批評封神演義第二十巻』ではなく簡体字の活字本であることからの漢字の間違いが一部で見られる。

物語の概略

封神演義の物語は、中国民衆の間に深く浸透している世界観(道教神仙思想仏教、などが深く絡み合った中国独特の宇宙観)を多少とも知っていることが、それを理解する早道となるが、編者に道教神仙思想仏教の知識が乏しかったと推定されているため、一般的な道教からみると多分に疑問な記述が多い。編者は特に歴史知識に疎かったらしく、唐の武将李靖を殷代に登場させるという誤りを犯しているという指摘がある。


注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。


封神演義の世界において、世界は仙界と人界に分かれ、仙界はさらに、人間からなった仙人・道士達からなる崑崙山の仙道「闡教(せんきょう)」と、それ以外の動物・植物・森羅万象に由来する仙道「截教(せっきょう)」とに二分されていた。

人界では時は商()の紂王の治世。名君と呼ばれた紂王はその心に兆した慢心から、女媧廟の祭祀において女媧への無礼にあたるふるまいを行った。すなわち、女媧は人間界のどの人間より美しい、この女媧が私のものであったら良いという意の詩を読んだわけである。この、紂王の「人」と「神」を混同した行動に女媧は怒り、千年生きた狐狸の精に紂王を陥れるよう命じた。狐狸精は、紂王の後宮に入ることになっていた美女、冀州侯の娘・妲己の魂魄を滅ぼしてその身体を手に入れ、紂王を籠絡し始めた。これ以降紂王は、妲己に操られるまま次第に暴政を行うようになっていった。

一方仙界では、闡教の教主・元始天尊門下の十二人、つまり崑崙の十二大仙が、千五百年に一度の逃れられぬ劫として、人を殺さねばならないという罰を受けることになった。また昊天上帝(天帝)が彼ら十二人を臣下に命じたことから、商周革命に関わる闡教徒、截教徒、人道の中から三百六十五位の『神』を『封(ほう)』じる『封神』の儀式を行うことになった。

天命により、この封神の執行者として選ばれたのが、崑崙の道士の一人であった姜子牙……後に周国の丞相となる太公望である。

斯くして商代末期の商周革命の動乱を舞台に、四不像(中国読みスープーシャン、日本語読みシフゾウ)に乗った姜子牙(太公望)がまきおこす商周両国の間の戦乱、ひいては闡教と截教の対立が描かれながら、数多くの仙人、道士の魂魄が封神榜の掲げられた「封神台」へと飛んでいくこととなる。

主要登場キャラクター

姜子牙(きょう しが) / 姜尚(きょう しょう)(通称は太公望(たいこう ぼう))
本作品の主人公。元始天尊の弟子。師の命令で下山し、周を助けて商を討ち、三百六十五人の神を封じる。
姫昌(き しょう) / 文王(ぶんおう)
四大諸侯の一人で、西伯侯。占いの名人で、後に姜子牙を迎え入れて周の文王となる。
散宜生(さん ぎせい)
周の文官。
武王(ぶおう) / 姫発(き はつ)
姫昌の次子。父の後を継いで周の武王を名乗り、商を討つ。
姫伯邑考(き はくゆうこう)
姫昌の長子。幽閉された父を救うために朝歌を訪れるが、妲己の策略により刑死する。
周公旦(しゅうこう たん) / 姫旦(き たん)
姫昌の第四子。
雷震子(らいしんし)
姫昌の養子で、第百子にあたる。雲中子の弟子。杏を食べたことにより鷲のような大翼を得て、周を援けた。
武吉(ぶ きつ / ぶ きち〔安能版〕)
木こり。殺人の罪で処刑されようとしたところを姜子牙に救われ、彼の弟子になる。
竜鬚虎(りゅうしゅこ)
妖怪。申公豹に騙されて姜子牙の肉を食おうとしたが、杏黄旗によって収められ、姜子牙の弟子となる。大石をイナゴの大群のように飛ばすことができる。

商(殷)

紂王(ちゅう おう)
商の天子。女媧宮を詣でた際、女媧の像を見て淫らな思いを起こし詩を書き残したため、女媧の怒りを買ってしまった。名君であったが、妲己を娶ってから酒色に溺れ暴政を行うようになる。
蘇妲己(そ だっき) / 千年狐狸精(せんねんこりせい)
紂王の妃。その正体は冀州侯蘇護の娘の姿に化けた千年狐狸精で、女媧の命を受けて商王朝の命数を縮めるために残虐な行為を繰り返す。
封神演義の原文には『蘇妲己』と表記されているが、春秋以前の時代の婦女子は姓より先に名前が来るのが通常であり、『史記』殷本紀の注にも「妲は字にして姓は己であり」と記されている。そのため、姓を蘇とし名を妲己とする封神演義の表記は本来は誤りである。
聞仲(ぶん ちゅう / もん ちゅう〔安能版〕)
商の太師。商軍を率いて西岐を攻める。師である金霊聖母から『絶』の字を避けるように言われていたが、敗走中に絶竜嶺にたどり着いてしまい、そこで雲中子と燃灯道人と戦って命を落とした。額に第三の瞳を持つ。
商容(しょう よう)
商の宰相。官職を辞して一時は朝歌を離れるが、後に逃亡中の殷郊が自宅を訪れたため、再び都に戻って紂王を諌めた。紂王に処刑を命じられたが、自ら石柱に頭をぶつけて自害する。
比干(ひ かん)
商の亜相。紂王の叔父。妲己の持病の治療のために紂王から『玲瓏心』を求められ、心臓を抜き取られて死亡した。
費仲(ひ ちゅう)
中諫大夫。奸臣。蘇護が賄賂を送らなかったため、彼の娘の妲己が絶世の美女であることを紂王に教え、娶るように勧めた。また妲己の密命を受け、姜皇后に紂王暗殺の濡れ衣を着せる計略を企てた。後に、文官であるにも関わらず魯雄率いる西伐軍に加わるよう聞仲から命じられ、西岐の地で命を落とした。
尤渾(ゆう こん)
奸臣。費仲同様、魯雄率いる西伐軍に加わるよう命じられ、西岐の地で命を落とした。
箕子(き し)
商の文官。紂王の叔父。王を諫めるも、投獄されて断髪される。
微子啓(びし けい)
商の文官。紂王の異母兄。王を諫めるも、挫折し、弟と共に商の祖廟を守って離反。
微子衍(びし えん)
商の文官。紂王の異母兄。王を諫めるも、挫折し、兄と共に商の祖廟を守って離反。
杜元銑(と げんせん)
商の司天台。雲中子の剣の献上の件で、宮殿を取り巻く妖気の原因が妲己であると気づく。王を諌めるも、処刑された。
梅伯(ばい はく)
商の上大夫。杜元銑の処刑が決定した際に王を諫めるも、炮烙にて処刑された。
姜妃(きょう ひ)
紂王の皇后。妲己の策略により紂王暗殺の濡れ衣を着せられ、両指を焼かれ片目を抜かれるといった拷問を受けた後、死を遂げる。
殷郊(いん こう)
商の太子で紂王と姜妃の間にできた長男。処刑される直前に風にさらわれ、広成子の弟子になる。後に三面六臂の姿となり、周を援けるために下山するが、申公豹に唆されて商軍に加わった。下山前に立てた「もし過てば、鋤で頭を落とされても構わない」という誓い通りの方法で処刑される。
殷洪(いん こう)
紂王と姜妃の間にできた次男。処刑される直前に風にさらわれ、赤精子の弟子になる。周を援けるために下山するが、申公豹に唆されて商軍に加わった。下山前に立てた「もし過てば、四肢を灰にされても構わない」という誓い通りの方法で処刑される。
武庚(ぶ こう)
商の王子。紂王の子。朝歌が落城した際に周兵によって捕らえられる。諸侯と姜子牙は武庚を処刑するよう武王に勧めたが、武王は成湯の血が絶えるのを避けるため彼を殺さず一領地を与えた。
安能版では妲己の侍女・鯀捐の子ということになっていたが、これは原作には存在しない設定である。
賈氏(かし / こし)
黄飛虎の妻。妲己の策略にあい、自らの身の潔白と黄家を守るために自害した。
黄氏(こう し) / 黄貴妃(こうきひ)
紂王の妃。黄飛虎の妹。義姉に当たる賈氏とは仲が良かった。
賈氏の死を嘆いて紂王に暴挙を振るい、墜落死する(作品によって死に方がまちまち)。
崇侯虎(すう こうこ)
四大諸侯の一人で北伯侯。四大諸侯の中では唯一、紂王に取り入っている悪役である。史実では殷に味方して周に歯向かった諸侯。
崇応彪(すう おうひょう)
崇侯虎の嗣子。
魔家四将(まかししょう)
佳夢関を守る四兄弟。聞仲の命により守備を胡昇と交代し、西岐を攻めた。
魔礼青(ま れいせい)
長兄。青雲剣と呼ばれる剣を持ち、これを振って、何万もの刃と矛を巻き起こす黒風を発生させる。
魔礼紅(ま れいこう)
次兄。混元傘と呼ばれる傘を持ち、これを開いて、天地を揺るがし炎を発生させる。
魔礼紅は第九十九回で広目天王に封じられるが、そのときの記述では琵琶を用いて調を司るとあり、最初の設定と矛盾が生じている。
魔礼海(ま れいかい)
三兄。地・水・火・風を司る四弦が張られた琵琶を持ち、これをかき鳴らして、風火を発生させる。
魔礼海は第九十九回で多文天王に封じられるが、そのときの記述では傘を用いて雨を司るとあり、最初の設定と矛盾が生じている。また、多『聞』天王ではなく多『文』天王と記述されているのは、多聞天が毘沙門天(托塔李天王である李靖)と重なる神格であり、作品内で同一人物が登場する不自然さを避けようとするための作者の作為的書き換えだとする説がある。
魔礼寿(ま れいじゅ)
末弟。花狐貂と呼ばれる白い鼠のような生物を持ち、これを放つと、白象ほどの大きさになって敵に食らいつく。
孔宣(こう せん)
商の西伐軍の将。正体は孔雀。五色の神光を放って洪錦、哪、雷震子、黄飛虎ら五岳、李靖、金、木など周将を次々と捕らえて苦戦させた。陸圧道人や燃灯道人が出陣しても何者であるかわからなかったが、準提道人によって正体が暴かれ、西方に連れて行かれた。
高継能(こう けいのう)
孔宣配下の将。蜂の大群を操って戦う。
胡昇(こ しょう)
佳夢関の総兵。弟の胡雷を失って一度は周軍に投降の文書を送るが、火霊聖母が味方についたことで帰順を撤回した。火霊聖母が戦死した後に再び投降を申し出るが、姜子牙に受け入れられず、処刑された。
胡雷(こ らい)
胡昇の弟。火霊聖母の弟子。身代わりの術を用いるが、竜吉公主に破られて処刑された。
丘引(きゅう いん)
青竜関の総兵。頭上から紅珠を出現させて敵を気絶させる。黄天祥に傷を負わせられたことを深く恨み、彼を捕らえると風化の刑に処した。青竜関の戦いで敗走するが、後に万仙陣で陸圧道人に倒される。
陳奇(ちん き)
丘引配下の将。口から黄気を吐いて敵を気絶させるという、鄭倫と似た術を用いる。
韓栄(かん えい)
汜水関の総兵。
韓昇・韓変(かん しょう・かん へん)
韓栄の二人の息子。万刃車と呼ばれる紙の風車を使って風と炎を起こし、周軍を阻んだ。
余化(よ か)
韓栄配下の将。七首将軍と呼ばれる。余元の弟子。
黄飛虎が造反を起こした際、汜水関で彼を捕らえるが、哪と戦って敗走した。後に周軍が汜水関を攻めた際に、猛毒を仕込んだ化血神刀をもって戦った。
余化竜(よかりゅう)
潼関の総兵。息子に余達・余兆・余光・余先・余徳がいる。
余徳(よ とく)
余化竜の第五子。兄弟の内で唯一出家していた。周軍が潼関を攻めた際父を援けるために下山し、兄たちに指示して毒痘をばら撒いた。
欧陽淳(おう ようじゅん)
臨潼関の総兵。
卞吉(べん きつ)
欧陽淳配下の将。霊符を持たずに下をくぐると気を失う『白骨幡』を持っていたが、密かに帰順を決意していた鄧昆と芮吉の策略によって破られる。
張奎(ちょう けい)
商の将軍でメンチ城の城主。俊足の独角烏煙獣に跨り、土行孫同様、地行術を用いて地中に潜ることができる。
高蘭英(こう らんえい)
張奎の妻。太陽金針を用いて敵の眼を潰す。
殷破敗(いん ぱばい)
殷郊・殷洪が朝歌を逃亡した際、雷開と共に二人を追った。後に商からの使者として周軍を訪れ、姜子牙を説得したが、受け入れられないとわかると死を覚悟して罵った。この口上に激怒した姜文換によって斬られ、命を落とす。
魯仁傑(ろ じんけつ)
征伐軍に加わるが、共に参戦していた梅山七怪の正体が妖怪だと気づき、商が滅びることを悟る。だが「どうせ死ぬのならば朝歌で忠義を見せ付けて死のう。妖怪と共に死にたくない」と考えて前線を離れ、殷破敗と共に朝歌に戻った。最後まで商に残り、禁城を背にして紂王と共に周軍と戦った。

商 → 周

黄飛虎(こう ひこ)/ 武成王(ぶせいおう)
商の鎮国武成王。五色神牛に跨る。妻と妹を殺された事で造反を決意し、後に周の開国武成王に就任した。三関分けでは青竜関を攻める軍の主将に任じられる。
黄天化(こう てんか)
黄飛虎の長男。清虚道徳真君の弟子。玉麒麟に跨り、二本の銀鎚で戦う。造反を起こした黄飛虎が陳桐に殺された際、これを助けるために下山した。後に道徳から「高に逢ったら戦わず、能に遇ったら引き返せ」という意味の偈を与えられたが、これを気に留めなかったために、高継能と戦い命を落とした。
黄天禄(こう てんろく)
黄飛虎の次子。
黄天爵(こう てんしゃく)
黄飛虎の第三子。長兄の天化が戦死、続いて青竜関で次兄の天禄も捕虜になり、その上弟の天祥が命を落としたため、一族断絶を恐れた飛虎によって東征途中で西岐に帰された。
黄天祥(こう てんしょう)
黄飛虎の第四子(末子)。青竜関で丘引を負傷させた時に彼の恨みを買い、後に捕らえられて処刑され、首の無い身体を関壁に吊るされた(風化の刑)。遺体は土行孫によって回収された後、天爵と共に西岐に帰された。享年十七歳。
黄明(こう めい)
黄飛虎の義弟。
周紀(しゅう き)
黄飛虎の義弟。
黄滾(こう こん)
黄飛虎の老父。商を離れることに反対し、謀反を起こした黄飛虎を界牌関で捕らえようとしたが、黄明と周紀の策略にあって周に帰順する。
崇黒虎(すう こくこ)
崇侯虎の弟。
崇応鸞(すう おうらん)
崇黒虎の嗣子。
鄧九公(とう きゅうこう)
三山関の総兵。南伯侯の侵略を防いでいたが、後に西伐を命じられる。酒宴の席で土行孫に「西岐を破ったら娘の嬋玉を嫁にやってもいい」と約束してしまう。土行孫が西岐に捕らえられた際、土行孫と嬋玉の偽りの婚礼を行って姜子牙を暗殺しようとしたが、逆に罠にかかって敗北した。その後、嬋玉の説得を受けて帰順する。
鄧秀(とう しゅう)
鄧九公の嗣子。
鄧嬋(蝉)玉(とう せんぎょく)
鄧九公の娘。投石の名人。父と共に西岐を攻めるが、土行孫と結婚して帰順する。土行孫が戦死した際に取り乱し、仇を討つために姜子牙の制止もきかず出陣するが、高蘭英によって殺された。
蘇護(そ ご)
冀州侯。妲己の父。紂王から娘の献上を迫られるが、これを拒否したために崇侯虎に冀州を攻められた。姫昌からの説得を受けて結局は娘を宮中に入れたが、その後は彼女の悪行を憂い、西岐討伐を命じられた際に帰順した。
蘇全忠(そ ぜんちゅう)
蘇護の嗣子。序盤では妲己の兄と記されているが、後半では妲己が彼の姉であるという矛盾した記述が存在する。
鄭倫(てい りん)
蘇護配下の将。鼻の穴から白光を噴出させて、相手を気絶させることができる。帰順に対し強硬に反対していたが、蘇護に説得され、周軍に加わる。
洪錦(こう きん)
己の姿を隠す旗門遁の術を使う。西岐を攻めるが、月合仙翁の導きによって竜吉公主と結婚し、周に帰順した。三関分けでは佳夢関を攻める軍の主将に任じられている。万仙陣で妻と共に没した。
楊任(よう じん / よう にん〔安能版〕)
元は商の上大夫。紂王を諌めて眼を抉り取られるが、清虚道徳真君に助けられて弟子となった。眼窩から腕を生やし、その掌に付いた眼は天庭・地穴・俗世界の全てを見ることができる。呂岳が瘟コウ陣を開いて周軍を阻んだ際、師の命令を受けて下山した。
鄧昆
黄飛虎の妻(賈氏)の妹の夫。商側の援軍として臨潼関に派遣されたが、義兄の黄飛虎が捕らえられているのを見て背反を決意し、芮吉と共に土行孫と呼応して商を裏切った。
芮吉(ぜい きつ)
鄧昆と共に援軍として臨潼関にやってきた将。周に帰順する。

闡教

元始天尊(げんしてんそん)
闡教の教主。玉虚宮に住む。
老子(ろうし)
元始天尊と通天教主の兄弟子。玄都に住む。
雲中子(うんちゅうし)
終南山・玉柱洞。妲己が千年狐狸精であることに気づき、松の剣を紂王に献上して彼女を祓おうとする。剣が焼かれて失敗すると、杜元銑の壁に下山の証となる詩を記して去った。後に雷震子を弟子とした。
南極仙翁(なんきょくせんおう)
闡教の仙人。申公豹が己の頭を切って飛ばし、姜子牙を惑わして封神榜を焼かせようとしていることに気づくと、白鶴童子に命じて申公豹の頭を海に捨てさせようとした。南極老人星
燃灯道人(ねんとうどうじん)
霊鷲洞・元覚洞。哪が李靖を殺そうとした際、これを和解させ、李靖に玲瓏塔を与えて弟子にした。十天君が十絶陣を開いたときに崑崙十二大師と共に下山し、姜子牙から官印を受け取ってまとめ役を勤めた。
崑崙十二大師(こんろんじゅうにたいし)
元始天尊の十二人の弟子で殺戒を受け、姜子牙に助力する。
なお殺戒とは「殺生を行わなければならない」という避けれ得ぬ宿命的な罰のことである。これを安能版は「仙人は千五百年に一度人殺しをしたい欲求に駆られる」と大幅に意味を変更した。だが崑崙十二大師は本来、観音菩薩や文殊・普賢菩薩といった高位の神仏と同一であり、安能版のような非人道的な設定は原作には一切存在しない。
広成子(こうせいし)
九仙山・桃源洞
赤精子(せきせいし)
太華山・雲霄洞
黄竜真人(こうりゅうしんじん)
二仙山・麻枯洞
太乙真人(たいいつしんじん)
乾元山・金光洞
玉鼎真人(ぎょくていしんじん)
玉泉山・金霞洞
霊宝大法師(れいほうだいほうし)
崆峒山(こうとうさん)・元陽洞
道行天尊(どうこうてんそん)
金庭山・玉屋洞
清虚道徳真君(せいきょどうとくしんくん)
青峰山・紫陽洞
懼留孫(くりゅうそん)
夾竜山・飛雲洞
文殊広法天尊(もんじゅこうほうてんそん)
五竜山・雲霓洞
慈航道人(じこうどうじん)
普陀山・落伽洞
普賢真人(ふげんしんじん)
九功山・白鶴洞
李哪(り なた / り なたく〔安能版〕)
李靖の第三子。少年ながら凄まじい働きを見せる。元は金光洞の霊珠で、太乙真人の弟子。東海龍王の子を殺した罪を償うために自害したが、後に蓮華精として蘇り、姜子牙を援けた。後に三面八臂の姿を得る。
という文字に『タク』という読み方は存在せず、ナタクという読みは安能務の漢字の読み誤り。
李靖(り せい)
の父。燃灯道人の弟子。
楊戩(よう せん / よう ぜん〔安能版〕)
変化術の達人で、哮天犬という名の犬を飼っている。仙号を清源妙道真君といい、これが顕聖二郎真君と同一とされる趙昱が北宋の真宗から贈られた銘と同じであること、そのほか二郎真君と類似した設定を持つことから、楊戩もまた二郎真君と同一視されている。
戩という文字に『ゼン』という読み方は存在せず、ヨウゼンという読みは安能務の漢字の読み誤り。
楊戩は非道な行いで有名な宋代の宦官と同姓同名だが、二郎真君と同一視する作品は封神演義が初めてであり、何故封神の作者が二郎真君に悪人の名をつけたのか明確な理由はわかっていない(西遊記に登場する二郎真君は楊姓だが、名までは設定されていない)。『醒世恒言』には宦官の楊戩が二郎真君を騙る道士・孫神通の悪事を暴く短編小説が収録されており(『勘皮靴単証二郎神』)、この説話が民間で広まる内に混同されたのではないかという説がある。
土行孫(ど こうそん)
懼留孫の弟子。背が低く、地下を進む『地行術』を使える。申公豹に唆されて商軍に加わったが、後に鄧嬋(蝉)玉と結ばれて帰順した。張奎の地行術を封じるのに必要な指地成鋼符を手に入れるために、飛雲洞に向かうが、途中の猛獣崖で待ち伏せしていた張奎に殺される。
韋護(い ご)
道行天尊の弟子。
竜吉公主(りゅうきつこうしゅ)
天帝と西王母の娘。天界で犯した罪により下界に落とされていたが、羅宣と劉環が西岐城を焼いた際に、周を援けるために下山した。後に月合仙翁の導きによって洪錦と夫婦になる。万仙陣で夫と共に没した。
白鶴童子(はっかくどうじ / はくつるどうじ〔安能版〕)
南極仙翁の弟子。

截教

通天教主(つうてんきょうしゅ)
截教の教主。碧遊宮に住む。
四聖(しせい)
西海九竜島に住む四人の仙人。王魔(おう ま)、楊森(よう しん)、高友乾(こう ゆうけん)、李興覇(り こうは)。
聞仲の頼みによって商に加担する。いずれも身長は一丈五六尺で、恐ろしい容貌をしており、跨る怪獣の瘴気によって西岐の馬は黄飛虎の五色神牛以外全て倒れこんでしまった。
十天君(じってんくん)
練達の道士たちで、旧知の聞仲が窮地に陥っていることを申公豹に知らされ、参戦する。それぞれの個性に応じた陣を敷いて待ち構える。
秦天君(秦完)
十天君の一人。天絶陣を敷いたが、文殊広法天尊に倒された。
趙天君(趙江)
十天君の一人。地烈陣を敷いたが、懼留孫に生け捕られ、他の九陣が全て破られた後に処刑された。
董天君(董全)
十天君の一人。風吼陣を敷いたが、慈航道人に倒された。
袁天君(袁角)
十天君の一人。寒氷陣を敷いたが、普賢真人に倒された。
金光聖母
十天君の一人。金光陣を敷いたが、広成子に倒された。
孫天君(孫良)
十天君の一人。化血陣を敷いたが、太乙真人に倒された。
柏天君(柏礼)
十天君の一人。烈焔陣を敷いたが、陸圧道人に倒された。
姚天君(姚賓)
十天君の一人。落魂陣を敷いて姜子牙の三魂七魄を奪おうとしたが、赤精子の妨害にあって失敗に終わった。後に赤精子と再戦して倒される。
王天君(王変)
十天君の一人。紅水陣を敷いたが、清虚道徳真君に倒される。王霊官。
張天君(張紹)
十天君の一人。紅砂陣を敷いたが、南極仙翁と白鶴童子に倒される。
趙公明(ちょう こうめい)
峨嵋山羅浮洞の仙人。黒い虎に跨り鞭を持つ。聞仲の頼みを受けて商に加担し、闡教の仙人たちと戦ったが、陸圧道人の策により釘頭七箭書で呪殺された。
陳九公・姚少司(ちん きゅうこう・よう しょうし)
趙公明の二人の弟子。師と共に下山して商に加担する。呪いをかけられ死に瀕した公明を援けるために、姜子牙から釘頭七箭書を奪い取るが、聞仲の姿に化けた楊戩に騙されて命を落とした。
三姑(さんこ)
趙公明の三人の妹たち。 申公豹によって趙公明の死を知らされ、兄の仇討ちをするために九曲黄河陣を敷く。
雲霄(うんしょう)
長女。趙公明に頼まれても金蛟剪を貸し渋るなど戦いに積極的ではなく、趙公明の死を知ったときも仇討ちには乗り気ではなかった。兄の死に激怒した妹たちが闡教の門人を無闇に傷つけることを恐れ、共に下山したが、結局戦いを止めることはできなかった。
瓊霄(けいしょう)、碧霄(へきしょう)
趙公明と雲霄の妹。兄の死に憤り、仇を討つために下山する。
安能版では碧霄が姉で瓊霄が妹としているが、原作にはどちらが年上であるかは明記されていない。なお原文の第九十九回にある封神榜では「雲霄娘娘 瓊霄娘娘 碧霄娘娘」と、瓊霄の方が先に名前が挙げられている。
呂岳(りょ がく)
申公豹に頼まれて、四人の弟子と共に商に加担し、西岐に疫病を広める。後に瘟コウ陣を敷いた。
馬元(ば げん)
申公豹に頼まれて商に加担した。頭の後ろから一本の腕を伸ばして人間を食べてしまう。文殊広法天尊の計略にかかり殺されかけるが、仏縁があったため準提道人によって西方に連れて行かれた。
羅宣・劉環(ら せん・りゅう かん)
申公豹に頼まれて商に加担し、西岐城を燃やした。
長耳定光仙(ちょうじていこうせん)
截教の仙人。通天教主に六魂幡を渡されたが、万仙陣で自教の不利を悟って逃げ出した。後に西方へ行った。
余元(よ げん)
金霊聖母の弟子。汜水関で弟子の余化を殺され、仇討ちのために商に加担する。捕らえて処刑しようとしたところ、首を斬ることができなかったため、懼留孫の提案により縄をかけたまま鉄箱に詰めて海に沈められた。だが水遁によって脱出し、碧遊宮で師の金霊と共に訴え、通天教主から法宝を授かる。その後再び周との戦いに挑むが、結局捕らえられ、陸圧道人の飛刀によって首を刎ねられた。
火霊聖母(かれいせいぼ)
多宝道人の弟子で、胡雷の師。佳夢関で弟子が周軍に殺されたため、仇を討つために商に加担する。三千の兵士を火竜兵として教練し、周軍の無数の兵を焼殺した。広成子によって倒されたが、遺品である金霞冠が碧遊宮に届けられたことで截教徒の不満が高まり、誅仙陣が開かれるきっかけとなる。
多宝道人(たほうどうじん)
截教の仙人。火霊聖母の師。広成子が火霊の遺品を届けに来た際、截教は侮辱されていると通天教主に訴えたため、誅仙陣を敷くよう命じられた。
金霊聖母(きんれいせいぼ)
截教の仙人。聞仲と余元の師。広成子が火霊聖母の遺品を届けた際に憤慨し、截教徒を煽った。万仙陣で普賢真人・文殊広法天尊・慈航道人の三人と同時に戦うが、横合いから燃灯道人の攻撃を受けて命を落とした。
亀霊聖母(きれいせいぼ)
截教の仙人。広成子が火霊聖母の遺品を届けた際に憤慨し、彼に斬りかかるが、番天印を投げられて原身である亀の姿を晒し恥をかいてしまう。その後万仙陣で懼留孫と戦うが、仏縁があったため接引道人によって西方に連れて行かれようとする。だが白蓮童子のミスによって蚊の群れに血を吸われ死んでしまった。
無当聖母(むとうせいぼ)
截教の仙人。広成子が火霊聖母の遺品を届けた際に憤慨し、截教徒を煽った。
烏雲仙(ううんせん/海亀
万仙陣で破れて原身を暴かれ、西方に連れて行かれる。
霊牙仙(れいがせん/白象
万仙陣で破れて原身を暴かれ、普賢真人の乗物となる。
蚪首仙(きゅうしゅせん/青毛の獅子
万仙陣で破れて原身を暴かれ、文殊広法天尊の乗物となる。
金光仙(きんこうせん/金毛の獅子
万仙陣で破れて原身を暴かれ、慈航道人の乗物となる。
石磯娘々(せっきにゃんにゃん/

女媧配下

女媧(じょか / にょか〔安能版〕)
千年狐狸精たちに紂王の元へと行き、破滅するよう命ずる。
九頭雉鶏精(きゅうとうちけいせい) / 胡喜媚(こ きび)
千年狐狸精の義妹。
玉石琵琶精(ぎょくせきびわせい) / 王貴人(おうきじん)
千年狐狸精の義妹。

その他

申公豹(しん こうひょう)
姜子牙の弟弟子。自らの頭を切って飛ばすことができる。
もともと闡教の道士だったが、姜子牙に恨みを抱き、十天君や殷郊・殷洪兄弟、土行孫、趙公明の三人の妹たちなど多くの仙人・道士を周に送り込んで、封神を妨害した。懼留孫に捕らえられた際、元始天尊の前で「再び子牙に害なることがあれば北海眼に押し込められても構わない」と口先だけの誓いを立てる。後に万仙陣で截教陣営に加わったため、白鶴童子に捕らえられ、先の誓いのとおり北海眼に封じられた。
原作と安能版の最大の違いは申公豹の扱いにある。安能版では許由と同一人物としているが事実ではない。また、安能版では申公豹は老子の庇護を受けている設定になっているが、この二人は原作では何の接点もない。申公豹は原作では、自分の命乞いをしてくれた姜子牙を逆恨みしたり、口先だけの誓いをたてたりするれっきとした『悪役』だが、安能版では天界の策略に憤りを覚えて妨害するアウトサイダーとして肯定的に描かれている。原作では「西岐など俺が血の海と白骨の山にしてやる」と吐き捨て、数多の仙家の者を戦いに送り込んで姜子牙を殺そうとするが、安能版では、仙界に頼らず戦いの規模の拡大を抑えるよう姜子牙に頼んだり、時には姜子牙の命を救ったりと、行動理念が完全に逆になっている。安能版は読者に好感をもって迎えられているが、物語の最後で設定に矛盾が生じている。
また、安能版では申公豹は雷を発生させる『雷公鞭』という宝貝を所持しているが、この宝貝は原作には全く存在しない。原作で申公豹が所持するのは宝剣と『開天珠』であり、封じられる神格も海の水を凍らせたり溶かしたりする分水将軍で、雷とは全く縁が無い。実力の描かれ方にも大きな差があり、原作では白鶴童子にあっさりと敗れる場面があるが、安能版では女媧に影響を与えるほどに力があることになっている。
安能版の申公豹には根強いファンも多いが、原作本来のイメージとは全く異なる人物像であり、学術的には批判の対象になっている。
黒点虎(こくてんこ)
安能版オリジナル。申公豹が乗騎している聖獣。原作では申公豹の騎獣は『白額虎』だが、安能版の『黒点虎』のように人間の言葉を喋る能力や、千里眼・順風耳の能力はない。
柏鑑(はく かん)
かつて黄帝軍の総兵官だった男。蚩尤と戦った際に火器で海に打ち落とされ、千年もの間魂が救われずにいた。姜子牙によって助けられ、百霊旗を持って封神台に魂魄を導く役目を負った。
羽翼仙(うよくせん)
蓬莱島の大鵬鵰。周に加担するが燃灯道人の計略にあって捕らえられ、彼の弟子になった。後に孔宣との戦いで周に助力した。
陸圧道人(りくあつどうじん)
西崑崙の閑人で、炎の精。飄然と現れては姜子牙に助力して去っていく。
準提道人(じゅんていどうじん)
西方の教主で仏教門徒。西方に縁がある者を連れて行く。
接引道人(せついんどうじん)
西方の教主で仏教門徒。西方に縁がある者を連れて行く。
瑶池金母(ようちきんぼ)
西王母。竜吉公主の母。殷郊を収める際に、南極仙翁の要請を受けて素色雲海旗を借し出した。
黄帝伏羲神農(こうてい・ふっき・しんのう)
火雲洞の三聖大師。呂岳や余徳によって疫病が撒かれた際、周に助力した。
安能版では彼ら三人が天帝であるとしているが、これは原作には存在しない設定で、原作における天帝とは昊天上帝のことである(そもそも竜吉公主が天帝と西王母の娘であるため、安能版の設定では矛盾が生じてしまう)。また彼らが下界の政治を遠隔操作しており、その命令が『天数』(天命)であるなどと安能版には記されているが、これも創作であり、原作でいう天命とは誰か特定の人物の陰謀じみたものではなく、ごく純粋な宿命思想に基づいたものである。
鴻釣道人(こうきんどうじん)
老子・元始天尊・通天教主の師。万仙陣の戦いを収拾させるために、三人の弟子に丹薬を飲ませ、再び争えば体内の丹薬の力で死に至るものとした。

封神演義を元にした後世の作品

日本国内の主な作品

小説『南総里見八犬伝

江戸時代曲亭馬琴の大河小説であるが、その構成などに影響がみられる。

漫画『封神演義』・テレビアニメ『仙界伝・封神演義』

週刊少年ジャンプ集英社)で連載されていた藤崎竜漫画作品。原作は安能務の講談社文庫版『封神演義』。また、この漫画を大幅に翻案脚色したテレビアニメ『仙界伝・封神演義』がテレビ東京系で放送された。また、バンダイよりゲーム化もされている。

詳細は、封神演義 (漫画)を参照のこと。

漫画『殷周伝説・太公望伝奇』

横山光輝漫画作品。潮出版社の「コミックトム(後にコミックトムプラスに改題)」にて連載された。藤崎版よりも魔法的な要素は少なく、歴史物語的な作風。途中、作者が1年間休載して絵の完成度が低くなったため、単行本の出版を見合わせていたが加筆修正をしてようやく刊行された。刊行直後に横山が急逝したため、本作は横山の遺作となった。単行本は全22巻。新版はコンビニコミック版で全10巻。

ゲームソフト『封神演義』・ドラマCD『封神演義』

PCゲームソフトメーカーの光栄(現・コーエー)が、独自の解釈に基づき家庭用ゲーム機PS用ゲームソフトとしてに制作発売したゲームソフト『封神演義』のこと。1と2があり、1を大幅に翻案脚色したドラマCDも発売された。

また、同社からはGC用アクションゲーム『バトル封神』、GBA用RPG『マジカル封神』といった関連ソフトも発売されている。

小説『小説 封神演義』

嘉藤徹/著、出版:PHP研究所、2000年7月 : ISBN 4569574254

独自の綿密な調査による歴史・中国文化・文字解釈とSF的ガジェットで再構成した創作小説。筆者は中国文学の研究者であり、商代に実在した文物や風習を書き込む、歴史上の人物は『史記』『詩経』などの正統派の古典の記述を参考にし、虚構の人物に関しては『封神演義』のネタ本となった『武王伐紂平話』『春秋列国志伝』を参考にする、『山海経』系のメジャーな妖怪・神仙を登場させる、等の執筆方針を立てたことがあとがきで述べられている。

小説『セレス』

南條竹則/著、出版:講談社、1999年 : ISBN 4062095823

『封神演義』をモチーフにした未来小説。仙界を模した中国企業開発の仮想現実ネットワーク『セレス』が舞台となり、『元始天尊』『通天教主』『龍吉公主』など、『封神演義』の人物を名乗るユーザーや人工生命プログラムが登場する。

ラジオドラマ『封神演義』

NHK-FM内番組「青春アドベンチャー」にて、1998年から2000年にかけて夏休みスペシャルで放送された。三部構成で各20話、計60話。安能務の講談社文庫版『封神演義』にほぼ忠実に作られた。姜子牙を石橋蓮司、紂王を藤岡弘、妲己を増山江威子、哪吒を野沢雅子、黄飛虎を大和田伸也、申公豹を壤晴彦、崇侯虎を大塚周夫、尤渾を永井一郎、などの豪華俳優声優陣で固めた。哪吒・白鶴童子(大山のぶ代)・雲中子(田の中勇)の三人だけで話を進めたこともある。その代わり、登場人物の無駄な多さを解消するため、兄弟や姉妹の数を減らすなどの苦慮がされている。何度か再放送しており、総集編を放送した時は生前の安能務が特別ゲストとしてメッセージを寄せた。

テーブルトークRPG央華封神RPG

グループSNEのデザイン、メディアワークスの発行による、封神演義をモデルとして制作された古代中国風のRPG。またこれを元にした小説(友野詳著)、漫画(栗橋伸祐作画)、ラジオドラマトレーディングカードゲーム(『央華封神TCG』)も制作されている。

オンラインゲーム天道オンライン

ハイファイブ・エンターテインメントが運営するMMORPG。封神演義の後日談的な世界でが争う世界を舞台にしており、封神演義のエピソードやキャラクターもゲーム内に登場する。

日本国以外の主な作品

アニメ映画 『ドラゴン水滸伝』(The Story of Chinese Gods)

1975年香港で作られた、封神演義を題材にしたアニメ映画。日本では東宝東和により公開された。ブルース・リーを思わせる風貌の楊戩が登場する。

テレビアニメ『哪伝奇』

中国のテレビ局、中国中央電視台で放送された。日本でも2006年~2007年に岐阜放送で放送され、DVDも発売された。邦題は『封神演義 ~ナタクの大冒険~』。

ドラマ『封神榜』

2006年に中国のテレビ局中国中央電視台で放送され、范冰冰が妲己役を好演した。

小説『神怪列国志 反封神榜』

楞嚴閣主/著、出版:中国民間文芸出版社、1988年12月

『封神演義』の後日談的な物語。二千年前の封神事業に関して、通天教主が玉帝に二十四か条に渡る要望を提出する。

また本書には別の物語『千年大比』も収録されている。

関連項目

関連外部リンク


参考文献

和訳

  • 『封神演義』 木嶋清道 訳、謙光社、1977年
  • 『封神演義』 安能務 訳、講談社文庫、1988年~1989年
  • 『封神演義―完訳』 訳、出版:光栄、1995年
  • 『封神演義 中国原典抄訳版』 川合章子/訳、出版:講談社、1998年 ISBN 4062562995
  • 『封神演義』 渡辺仙州/訳、佐竹美保/絵、出版:偕成社、1998年
  • 『封神演義』 八木原一恵/抄訳、出版:集英社、1999年 ISBN 4087470245
  • 『元祖・封神演義』 周金岑/改篇 倉橋敦司/訳、出版:文芸社、1999年 ISBN 4887375727

中文書籍

  • 『古本小説集成』561~565巻 《古本小説集成》編委會/編、上海古籍出版社、1994(日本内閣文庫所蔵『新刻鐘伯敬先生批評封神演義』の影印本)
  • 『封神演義』(上)(下)許仲琳/編、作家出版社、1955
  • 『封神演義』(上)(下)許仲琳/編、鐘惺/評、広東人民出版社、1980
  • 『封神演義』 許仲林/編著、上海古籍出版社、1991
  • 『封神演義』 陸西星/撰、鐘伯敬/評、楊宗塋/校訂 繆天華/校閲、三民書局、1991
  • 『封神榜 車王府麹本』(上)(中)(下)蘇寰中、郭精鋭、陳偉武/校点、人民文学出版社、1992

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