植物

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植物(しょくぶつ、:plant)とは、光合成を行い、運動をせずに生活する生物、あるいはそれに類似の生物をまとめる言葉である。広義には、動物ではないものすべてをさす。

分類学上の群としての植物については、植物界を参照。

目次

概観

日常用語で植物と言えば、のことであるが、少し広く見れば動物以外の非運動性の生物である、という認識がされている。たとえば、ワカメコンブは光合成をするし、キノコは地面から生えてくるから植物に見える。

学術的に植物とされる生物の範囲については、歴史的にさまざまな学説があった。

二界説の枠組み

アリストテレスはすべての生物を植物(非運動性であり、感覚器を持たないもの)と動物に分類した。リンネの分類ではすべての生物はベシタブリア界(後に植物界)と動物界に分けられた。これが、一般の認識における植物と考えていいと思われる。

当時は無脊椎動物藻類原生生物に関する知識が薄弱だったが、それらについても研究が進むにつれ、このどちらかに振り分けられた。

五界分類以前の古い二界分類等では、シダ植物コケ植物種子植物の他に、以下のグループが植物に属していた。

これらをまとめてみると、植物の特徴は、以下のようなものである。

実際には、これらの特徴のどれかを持てば、植物と見なされる可能性があった。むしろ、動物でないものは植物と見なした、といった方がよいかも知れない。

現代の立場から考えれば、動物界に組み入れられた生物群が、原生動物を除いてはほぼ単系統のまとまったものであった分だけ、残りの植物界が、雑多な群の詰め合わせになってしまったとも言える。

新しい枠組みの中で

微生物が発見されるまでは、藍藻キノコを植物と見なすことにさほどの違和感はなく、このまとまりが疑問なく受け入れられていた。しかし、様々な生物が発見され、その性質が知られる内に、二界説の枠組みに疑問が投げかけられるようになった。具体的には、細菌類と藍藻類原核生物であるからモネラ界へ分けられ、菌類は退化した植物ではなく、独自の進化を遂げた生物と考えられることが多くなった。この傾向を決定づけたのが、ロバート・ホイタッカー五界説であった。しかし、この段階でも、藍藻類を含めた光合成生物が、一つの系統的なまとまりを形成するという考えは暗に認められていた。

それが崩壊したのは、分子遺伝学的情報が利用可能になったこと、原生生物各群の研究、特に微細構造の解明が進んだこと、そういった中から、細胞内共生によって、多様な原生生物が独自に藻類化したらしいことが明らかになったためである。

たとえば、ミドリムシ類は緑藻類と同じ光合成色素を持っている。したがって系統上は近いものと考えることができたわけである。しかし、近年の考えでは、これは全く系統の異なった原生生物が緑藻類を取り込み、自らの葉緑体としたものだと考えられている。つまり、光合成能力は、その生物の系統とは関係なく得られると考えられる。したがって、現代では、藻類というまとまりに分類学的意味を見いだすことはできなくなってしまった。

このような理由により、現代では植物界は、種子植物シダ植物コケ植物という陸上で進化した互いに近縁な群(陸上植物)と、それと直接の系統関係があると思われる群のみを含めるものとなっている。原生生物に位置づけられた藻類は、それぞれに藻類というくくりではなく、藻類を含む原生生物として見直しが進んでいる段階である。

現在も使われる言葉として

ただし、現代においても古典的な、広い意味での植物という語はそれなりの役割を担っている。動物植物は我々の持つ生物の類型として、いわばの動物との植物という、対立した生き方を示す言葉でもある。

また、光合成生物をまとめて言い表すには、やはり植物という語が用いられる。たとえば光合成生態系における生物生産の基礎をなすものであり、それを行う生物は、生産者と呼ばれる。これを説明する言葉としては、やはり植物を使うことが多いし、他に適当な言葉も見あたらない。そのような意味で、これからもこの言葉が使われる機会は少なくない。たとえば、海産の微小藻類は、現在の位置づけではほとんどが植物界ではないが、やはり植物プランクトンと呼ばれて行くと思われる。二次植物という語があるが、これなど、その指す対象すべてが植物界ではない状態である。

学名に関して

なお、生物学の分野で未だに古い植物の範囲が残っているのが学名である。学名の付け方や運用に関しては厳密な取り決め(命名規約)があるが、これが動物植物細菌と分かれているのである。動物は現在でも単系統と考えられているからよいとして、ここで扱われる植物の範囲は、菌類までを含んで二界説における植物界そのものであり、細菌が外された点だけが新しい。

関連項目

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