軽油

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軽油(けいゆ)とは、原油から精製される石油製品の一種で、主としてディーゼルエンジンの燃料として使用され、その用途のものはディーゼル燃料ともいう。軽油の名は、重油に対応して付けられたものである。決して「軽自動車用の燃料」という意味ではない

英語圏では「Diesel」で、軽油(ディーゼル燃料)の意味となる。日本のガソリンスタンドでは、セルフ式スタンドの普及により誤給油を防ぐ理由から「軽油」の代わりに「ディーゼル」と表記されている場合がある。

第4類危険物の第2石油類に属する。

目次

概要

原油の蒸留によって得られる沸点範囲が180~350℃程度の石油製品(炭化水素混合物)である。精製直後は無色であるが、出荷前にエメラルドグリーンなどに着色される(精製会社により異なる)。

用途

主にディーゼルエンジンの燃料として用いられる。

自動車(特に大型車)・鉄道車両船舶用のディーゼル燃料が日本の軽油の消費量の95%を占めるが、建設機械農業機械の燃料、窯業鉄鋼用の燃料、電力用補助燃料としても使用されている。高出力で熱効率燃費)が良いため、負荷の大きいバストラック等に向いており、またガソリンよりも税金軽油引取税等)が安い利点もある。ヨーロッパでは自家用車でもディーゼルエンジン搭載車両が増えてきている(→ディーゼル自動車)。また引火・爆発の危険が低いため戦車などの軍用車輌にも使われており、中には燃料タンクを装甲の一部としている例も見られる。

品質

ディーゼル用軽油としての要求性状は

  1. 始動・燃焼を順調に行うため着火性の良いこと。すなわちセタン価が高いこと。
  2. 燃焼を均一に行うために噴霧を良くすることが必要である。そのため、燃料中に不純物を含まず、かつ、粘度が適当であること。
  3. 不完全燃焼による炭素の生成を防止するため、アスファルトなどの高沸点留分が少ないことなどである。

これらをふまえた上で、軽油の規格は次のとおりとされる。

  • JIS K2204規格による軽油の分類・性状
試験項目 試験方法 種 類
特1号 1号 2号 3号 特3号
引火点 ℃ JIS K2265 50以上 45以上
蒸留性状 90%留出
温度 ℃
JIS K2254 360以下 350以下 330以下(*1) 330以下
流動点 ℃ JIS K2269 +5以下 -2.5以下 -7.5以下 -20以下 -30以下
目詰まり点 ℃ JIS K2288 -1以下 -5以下 -12以下 -19以下
10%残油の残留
炭素分質量%
JIS K2270 0.1以下
セタン指数(*2) JIS K2280 50以上 45以上
動粘度(30℃) mm2/s JIS K2283 2.7以上 2.5以上 2.0以上 1.7以上
硫黄分 質量% JIS K2541-1,
JIS K2541-2,
JIS K2541-6
又は
JIS K2541-7
0.0050以下
密度(15℃) g/cm3 JIS K2249 0.86以下
備  考 夏季用 冬季用 寒冷地用
(*1)動粘度(30℃)が4.7mm2/s以下の場合には,350℃とする。
(*2)セタン指数は,セタン価を用いることもできる。
  • 地方税法上の軽油の規格
    比重:温度15度において、0.8017を超え0.8762まで
    分留性状90%留出温度:267度を超え400度まで
    残留炭素分:90%を留出した後の残油に含まれている炭素分の重量が残油総重量の0.2%以下
    引火点:130度以下
  • 関税定率法上の軽油の規格
    比重:温度摂氏15度において、0.8757以下
    分留性状90%留出温度:310度を超え400度まで
  • 揮発油等の品質の確保等に関する法律上の軽油の規格
    硫黄分:0.005質量%(50ppm)以下
    セタン指数:45以上
  • 90%留出温度:360度以下

低硫黄化(脱硫)

環境規制に対応するために、自動車の触媒やパティキュレートフィルターに悪影響を及ぼす硫黄分を減らす、低硫黄(サルファーフリー)化が1992年に5,000ppmから2,000ppmへ、1997年からは500ppmへと段階的に進められ、2003年からは50ppmへ、さらに2007年から10ppmへとさらなる低硫黄化が進められている。

日本では2004年末、自動車排出ガス規制に関連する「自動車燃料品質規制値」の変更に伴い、軽油に含まれる硫黄の許容限界は、従来の0.01%質量以下から0.005%質量以下へと改められた[1]

燃料内の硫黄分は噴射ポンプと噴射ノズルの潤滑のためには必要な要素であったため、脱硫した軽油には潤滑材(剤)が添加されている。

販売

軽油やガソリンは、特約店を通じてガソリンスタンド等で販売されるのが一般的であるが、同じ自動車燃料として使用されるガソリンと異なる点として、軽油は需要の多くがバスやトラック業者などの大口需要家で占められることから、大口需要家に対しては、元売や特約店による需要家の所有する地下タンクへの直接納入(インタンク)が行われる。 また軽油に特化した広域販売店(フリート)での販売も行われている。

セルフ式ガソリンスタンドでの注意点

軽油はあくまでディーゼルエンジン車用の燃料である。(ガソリンエンジンの)軽自動車には入れてはならない

ガソリン車に軽油を入れてエンジンを稼働した場合は、すぐに動かなくなるものの大事に至らない。しかし、ディーゼル車にガソリンを入れてエンジンを稼働した場合は、噴射ポンプや噴射ノズルにダメージを与える。そのため、誤って給油した場合は必ずエンジン始動前に燃料タンクを空にする必要がある。

プレミアム軽油

SUV車などのRVブームであった1990年代後半頃に日本石油と三菱石油が合併して日石三菱が誕生する前の日本石油と三菱石油、それに三井石油が「プレミアムガソリン」に対抗して、一般的な軽油(ノーマル軽油)よりセタン価の高い特殊な軽油としてプレミアム軽油を発売した。このプレミアム軽油は、一般的な軽油に比べて清浄剤が含まれていることからクリーンなことが期待され、黒煙の減少も期待されていたり、着火性や燃焼性に優れているなど一般的な軽油(ノーマル軽油)に比べてより万能的な軽油である。ただ、バスなどの中・大型自動車への普及性については、バスなどの中・大型自動車に対応できるガソリンスタンドで販売できるところが存在しないかもしくは少ないことから課題が残っているが、黒煙を減らすことにとっては、役に立つ軽油である。日石三菱ガソリンスタンドのブランド(トレード)がENEOSに変更され、社名が新日本石油に変更された後も引き続きプレミアム軽油の販売を継続している。また、出光興産なども少数でありながら、このプレミアム軽油を販売していたこともあったが、出光興産などがプレミアム軽油を現在も販売を継続しているかどうかは不明である。なお、以前プレミアム軽油を販売していた実績のある三井石油は、このプレミアム軽油の販売を現在も継続しているかどうかは、おそらく不明であるが、新規にプレミアム軽油を発売する石油元売り(石油メーカー)は、不明であると思われる。

軽油引取税

ディーゼル車用燃料として使われる軽油の取引には、軽油引取税という都道府県税(地方税)がかかる。ちなみに、ガソリンには、国税(中央税)ガソリン税地方道路税を含む)がかかる。

近年、軽油引取税を脱税するために、重油灯油などを混合してディーゼル車で使えるようにした不正軽油が製造・販売・消費されるようになり、混合による煤煙の増加によってもたらされる大気汚染も含めて社会問題化している。

軽油引取税の一般財源化(総合財源化)が審議されているが、一般財源化(総合財源化)されるのであれば道路建設目的の財源ではなくなるため、軽油のみに課税すること自体が課税の公平性を保つ上で大きな争点になりうる。
燃焼のため発生する物質による大気汚染・酸性雨地球温暖化が社会的に問題となっている現代では、環境負荷に対する負担に対して税を課するという点で言えば、自動車用燃料のみに軽油引取税という形で課税することは公平であるとは言いがたく、自動車以外の燃料用の重油類に対しても課税すべきであると言える。
また、もともと不凍性の軽油を製造する際には灯油に相当する成分を混合しているため、ディーゼル自動車に対する灯油給油が違法(脱税)行為だということには「政府と石油元売ぼろもうけ」と反発の声も強い(特に酷寒地である北海道に根強い)。

関連項目

参照

  1. ^ 自動車燃料品質規制値(環境省)

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